生物の遺伝現象を中心に研究する学問である。分子生物学と密接な関係を持つ。古典的なメンデル遺伝を初め、形質転換、形質導入など幅広くカバーしている。このページでは遺伝学に用いられる用語とその説明を掲載する。ただし、分子生物学と関係する用語は一部分子生物学のページに載せてある。
減数分裂 (meiosis)
配偶子形成の際に行われる細胞分裂であり、減数分裂によって生じた娘細胞の染色体数は分裂前の細胞の半分になる。減数分裂では、染色体の複製後に相同染色体が対合し、二価染色体形成される。二価染色体からはDNAの複製なしに連続2回の細胞分裂が行われる。また、二価染色体では乗り換え(相同組換え)が行われる。
検定交雑 (test cross)
ある生物の遺伝子型を判定することを目的とした交雑である。判定の対象となる遺伝子がすべてホモの個体を利用して、対象生物と交雑を行うことで、子の表現型により、親の遺伝子型を判定する。
致死遺伝子 (lethal gene)
その遺伝子を持つ個体を死に至らす遺伝子のこと。劣性の致死遺伝子をホモに持つ場合は、生まれることなく死亡する場合が多く、また個体が成長した後に発現する場合もある。一方、ヘテロに持つ個体では、致死性が発言しない場合があり、致死遺伝子が遺伝することがある。例えば、ヒトの鎌状赤血球症遺伝子では鎌状赤血球を作る遺伝子をホモに持つと、重度の貧血になり幼児のうちに死亡する。しかし、これをヘテロに持つ場合は軽い貧血が起こるが、マラリアに耐性を示すので、生存に有利。
不完全優性 (incomplete dominance)
ヘテロ接合体が持つ 2 つの対立遺伝子がどちらも表現型として現れずに、その中間的な形質が表現型(中間雑種)として現れる。
対立遺伝子 (allele)
一つの遺伝子座を占める得る複数の塩基配列のこと。例えば ABO 型血液型の遺伝子座には A 型、B 型と O 型を示す塩基配列が埋めることができる。
伴性遺伝 (sex linkage)
性染色体に依存する遺伝である。例えば、ヒトの場合は赤緑色覚異常や血友病などの遺伝子が X 染色体に存在し、伴性遺伝となる。
相同染色体 (homologous chromosome)
各内に存在する同形同大の一対の染色体。相同染色体は遺伝子座の順番は同じだが、遺伝子座を占める遺伝子がホモであったり、ヘテロであったりする。
二価染色体 (bivalent)
減数分裂の際に、相同染色体が 2 本ずつ平行に対合した染色体をいう。減数分裂第一分裂期の中期に観察される。