遺伝的多様性

ある遺伝子に多様性がみられるとき、その遺伝子を多型 (polymorphism) という。例えば、エンドウ豆の色(黄色・緑色)を決定する遺伝子やヒトや血液型(ABO)を決定する遺伝子などが多型である。多型のそれぞれのタイプをアレル (allele) あるいは対立遺伝子とよぶ。二倍体生物において、2 個のアレルが同じである場合をホモ接合 (homozygote) 、異なる場合をヘテロ接合 (heterozygote) という。そして、2 つのアレルの組み合わせを遺伝子型 (genotype) という。

遺伝子型とアリルの多型

ある生物集団の遺伝的多様性 (genetic variation) を調べたいとき、その集団におけるアレル頻度あるいは遺伝子型(アレルの組み合わせ)の頻度を調べればよい。しかし、遺伝子型の頻度は、染色体組み替えなどを考慮する必要があり、その変動が非常に複雑である。そのため、遺伝的多様性を調べるときは、一般的にアレル頻度に着目することが多い。

アレル頻度に着目したとき、アレルの種類数やヘテロ接合度 (heterozygosity) などが遺伝的多様性を測る指標となる。ヘテロ接合度は、狭義には集団内のヘテロ接合の個体の割合のことであるが、広義には集団からランダムに選んだ 2 つのアレルが異なる種類であるときの確率のことである。この広義のヘテロ接合度が集団の遺伝的多様性を反映しているといえる。