土壌は陰電荷が主だが、場合によって陽電荷をもつこともある。
陰電荷
- 粘土の構造変化に基づく荷電(永久陰電荷)
シリカ四面体中のケイ素(Si4+)が抜けて、入れ替わりに Al3+ が入ってくると、全体の荷電バランスが崩れて、マイナスに荷電するようになる。一方、アルミナ八面体では Al3+ が Mg2+ や Mn2+ などと入れ換わったりすると、全体の荷電バランスが崩れる。
- 粘土鉱物の結晶端末にできる荷電(pH 依存型陰電荷)
粘土鉱物の結晶端末に露出している [Al-OH] 基などからプロトンが溶脱される。すると、結晶末端は、マイナスの電荷 [Al-O-] を帯びるようになる。 - 土壌の腐植がもつ荷電
土壌中の腐食物質に、多くのカルボキシルやヒドロキシル基が含まれている。これらの酸性基から何らかの原因でプロトンが容脱すると、その部分がマイナスの電荷を帯びるようになる。
陽電荷
- アルミナ八面体の末端にある OH 基が土壌中の水素イオンと水素結合すると、プラスの電荷を示すようになる。
- 熱帯、亜熱帯で風化が進んだ土壌に存在する粘土鉱物である鉄やアルミニウムの酸化物も、アルミナ八面体と同様に低 pH でプラスの電荷である。
- 腐植に富む土壌は低 pH で、OH 基に水素イオンが引き寄せられ O+H2 となる。