植物と共生する細菌

植物と共生する細菌には、根粒菌や菌根菌などが知られている。根粒菌は、大気中の窒素を固定して植物に提供し、代わりに植物から光合成産物を受け取る。菌根菌は、土壌に菌糸を張り巡らせて、土壌中のリン酸を吸収して植物に提供し、代わりに植物から光合成産物を受け取る。

根粒菌

根粒菌はマメ科の植物に根粒を形成させる細菌で、高い窒素固定能力を示す。土壌中において、単独では窒素固定を行わないが、共生すると窒素固定を行うようになる。根粒形成について、根粒菌が植物根から分泌されるフラボノイド化合物を検知して、Nod 因子を分泌する。植物の根が Nod 因子を検知されると、根粒を形成するように促進される。

菌根菌

菌根菌は、植物根の表面あるいは内部に菌根を産生させる糸状菌である。土壌中に張り巡らした菌糸からリン酸を吸収し、植物を提供する。菌根菌には、VA 菌根菌と外生菌根菌がある。

VA 菌は、植物根の細胞内に樹枝状体と細胞間隔に形成される嚢状体からなる。嚢状体を形成しない VA 菌を特にアーバスキュラー菌根菌という。VA 菌により作られる菌根は、アムル型とパリス型が存在する。アムル型では、根に感染した菌糸が細胞間隔に直線で太い菌糸を伸長させ、そこから側方向に分岐し菌糸が各々の根皮層細胞内に侵入し、さらに分岐を繰り返えして、樹枝状体を形成する。一方、パリス型では、根の細胞内に侵入した菌糸が粗く分岐するとともに伸長してコイル状に呈し、そこから隣接する植物皮層細胞へと新たに菌糸を侵入させることを繰り返して、樹枝状体を形成する。

エンドファイト

エンドファイトは、植物体内で共生的に生息する細菌や糸状菌の総称で、しばしば根粒菌と菌根菌と区別される。エンドファイトは、植物体内で様々な生理物質を産生する。そのため、エンドファイトと共生した植物は、病害虫に対して抵抗性を持ったり、環境ストレスに対する抵抗性をもったりするようになる。