動物の性は、遺伝的要因によって決定される場合と環境要因で決定される場合とある。遺伝要因による性決定は、哺乳類の性染色体のように、メス化を阻止している遺伝子などが発現することで、動物のオス化を促進している。環境要因による性決定は、生育温度あるいは周囲にあるメスとオスの数などに影響されて、性が決定されたり、性転換などが起こる。
ゼブラフィッシュの性決定
ゼブラフィッシュの性は、受精後 20~30 日で決定される。ゼブラフィッシュの性決定のメカニズムはまだ明らかになっていないが、おそらく生殖細胞のアポトーシスなどが関与している、と思われる [20661450]。
若齢卵巣にある生殖細胞は、fancl 遺伝子の働きで細胞分裂を繰り返していると考えられる。また、この時期に tp53 が働くと、生殖細胞のアポトーシスが誘導される。fancl と tp53 の拮抗的な作用により、生殖細胞の数が決まる。ゼブラフィッシュの性決定は、生殖細胞の数に影響される [25434820]。通常のゼブラフィッシュでは、30-40 個の生殖細胞を持ち、成魚の性比は 1:1 になる。しかし、生殖細胞の数が 10 個未満のとき、ゼブラフィッシュはほとんどオスになることが報告されている。

References
- Sex reversal in zebrafish fancl mutants is caused by Tp53-mediated germ cell apoptosis. PLoS Genet. 2010, 6(7):e1001034. DOI: 10.1371/journal.pgen.1001034 PMID: 20661450
- Early depletion of primordial germ cells in zebrafish promotes testis formation. Stem Cell Reports. 2015, 4(1):61-73. DOI: 10.1016/j.stemcr.2014.10.011 PMID: 25434820